京都市左京区北山通り、ノートルダム学院小学校前に、一際目を引く、民家レストランがある。

和牛焼肉「きたやま南山」だ。
滋賀県永源寺にあった築300年の古民家を移築した店内は、天井が高く広々としていて、黒光りする梁などがダイナミックな空間を作り、何処かさわやかな風が吹きにける田舎の民家でゆったりくつろいでいる気分になる。

焼き肉店にありがちな、焼けた脂のどんよりと淀んだ匂いは全くない。

店内には、テーブル席、カウンター・カップル席、小上がり席、個室などで、テーブル、椅子ともに手入れが行き届いていて、パリっと糊のきいた白い仕事着の若い店員さんたちの応対もてきぱきしていて清々しく気持ちが良い。テーブルに組み込まれているのは、もちろん無煙ロースター。女性や年配の人が多いのも頷ける。

南山を取り仕切るのは、社長の楠本貞愛さん。「レストランが安全な有機農産物の生産を支えるパイプ役となる」ことを目指した創業者孫時英氏の後を受け継ぎ、10年前から采配を振るっている。全国の生産地を巡り、岩手県岩泉町のいわて短角和牛との付き合いは2005年から。短角牛に愛着を持ち、肉質・味などの情報をきめ細かく生産者にフィードッバクし、より良い肉を作ることに努めている。

京水菜にローストビーフのサラダに続いていただいたのは、「短角牛ロース」。

ロースとはいえ、霜降りのくどさは全くなく、十分に熟成させた短角牛独特の赤身は、香ばしく、噛みしめると肉汁がじんわりと歯茎に沁み込み旨味が口中に拡がる。美味い!1頭仕入れで、とことん品質にこだわっている南山ならではの至福の味だ。添えられているのは、「安家地大根」と「南部一郎カボチャ」。

安家(あっか)地大根は、岩泉町安家地区で古くから栽培されているもので、皮に近い部分の鮮やかな紅色が特徴。ビタミンCは、普通の青首大根の20倍という優れものだ。また「南部(なんぶ)一郎かぼちゃ」は、細長く途中から曲がっていて"鶴首かぼちゃ"と呼ばれる独特の形で、マンゴー並みの甘さが特徴。その昔、奥州藤原氏ゆかりの中尊寺別当の荘園だった一関市厳美町本寺地区の特産品で、化学肥料は一切使っていない。

最後は、「本日の牛盛り合わせ」。短角牛、近江牛、京都たんくろ和牛が大皿にどんと盛り合わせて運ばれてきた。取材スタッフとともに3人でいただいたが、たっぷり堪能した。好みでチョイスできるようになっているが、中には岩手の短角は外して欲しいというお客さんもいるという。残念な事だ。南山では外部機関で放射能検査を独自に実施し、完全に安全な肉を提供しているが、風評被害がこんなにも影響しているのかということに、暗澹とした気持ちになった。

焼肉の締めと言えば「冷麺」。「南山風冷麺」は、盛岡ピョンピョン舎の冷麺に、自家製のチャーシューなどをトッピングした人気メニュー。

野菜にもこだわり、地元京都の他、滋賀、岩手から産地直送で取り寄せ、店内でも販売している。

南山で特筆すべきは、脂肪が少なくヘルシーな短角牛の赤身を生かした「糖質オフ」メニューだ。専門医、栄養士の監修によるもので、「焼肉ダイエット実践講座」も店内で開かれている。焼肉を食べ、1週間で5キロの減量に成功した人もいるという。

店の隣には、100人収容できる「南山はなれ」がある。

南山を取り仕切るのは、社長の楠本貞愛さん。

「レストランが安全な有機農産物の生産を支えるパイプ役となる」ことを目指した創業者“孫時英”氏の後を受け継ぎ、10年前から采配を振るっている。全国の生産地を巡り、岩手県岩泉町のいわて短角和牛との付き合いは2005年から。短角牛に愛着を持ち、肉質・味などの情報をきめ細かく生産者にフィードバックし、より良い肉を作ることに努めている。


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いわて文化大使も務める楠本さんは、単なる食材応援団にとどまらず、岩手の応援団だ。震災後は、募金活動のほか、短角牛を被災地に提供するなど、「心の炊き出し」を続けている。
安心・安全な料理を提供するため、何をしなければならないか・・・小柄で華奢な楠本さんのどこにそんなエネルギーが潜んでいるのかと思うほど、ほとばしり出る熱い言葉に圧倒された。こうした人たちの熱意に支えられて岩手の食材の流通が曲がりなりにもようやく行われていることを思うと、さまざまなステージで地元の体制をさらに整備していくことが必要だと痛感した。