「いわて純情米ひとめぼれ」だけを使い続けているおにぎり屋さんがある。
阪急豊中駅西口「エトレ豊中」1階にある、手づくりおにぎり専門店「五飯」だ。

店主の澤田龍さんが、朝5時には店に入り、毎日200~300個を、型を使わず、ひとつひとつ真心を込めて丁寧に握っている。

関西出身の澤田さんは、東京の大学で知り合った岩手の友人とともに何回か岩手を訪れているうちに、多くの知人を得、啄木のように岩手山に憧れ、賢治のように北上の流れに思いを寄せるようになり、岩手が我が故郷になったと話す。

いつの日か岩手に係る仕事をしたいと考え続け、電気メーカーや父親の経営する会社を経て、平成10年秋、「五飯」を開業した。

店をやるなら「岩手の米だけを使うおにぎり屋」と決めていたが、肝心のコメを何にするか、創業前から他県のブランド米を含め、「ひとめぼれ」以外の品種も色々試したが、おにぎりに関しては、冷めても、ねばりともちもち感を失わず美味しい“ひとめぼれ”の右に出るものはなかったという。


澤田さんのおにぎりに対するこだわりは半端ではない。五つのこだわりを、「五飯」という店名にしている位だ。

まずコメは、日本穀物検定協会による食味ランキングで、18回特A(最高位)を取り続けている「いわて純情米ひとめぼれ」。次に、いくらコメが優れていても、水が良くなければ美味しく炊けない。「五飯」では、「アルカリイオン水」を使っている。海苔は、風味があって歯ですっと切れる最高級有明産。噛んだ時に、海苔が切れず、おにぎりの形が変わってしまうようなものは駄目なのだ。それに最近、さまざまな添加物が含まれた海苔が横行しているらしい。

おにぎりの中に入れる具へのこだわりがこれまた凄い。

例えば梅は、紀州南部(みなべ)の無添加梅。鮭は、フレークではなく、切り身を時間を計って焼き上げ、ほぐして小骨を取って入れている。

人気のタラコも、博多の明太子を半生に焼き、カットして使っている。切れ子などは使わない。厳選した新鮮な食材が売り物だ。


最後五つ目のこだわりが「おふくろの味」。ご飯と具材の取り合わせを考えて、澤田さんは、少しだけ固めに握っている。と言ってもご飯がつぶれるほどでは決してない。ほおばってみると、ご飯が粒立ち、光っている。ご飯と具が柔らかく重なり合い、口中で美味なハーモニーを奏でる。ご飯が美味しく、続けてかぶりついてしまう。

一口に「おにぎり」と言っても、とても奥が深い。これだけ一生懸命愛情を込めて握られるおにぎりが、美味しくないはずはないのだ。
具が3種類入った「ばくだん」(¥250)をはじめ、澤田さんは、お客さんの好みの具を何種類か入れたおにぎりの注文にも応じている。自分だけの「マイおにぎり」を頼んでみるのも一興だ。

「いわて純情米ひとめぼれ」とは

澄んだ空気、元気な土、清らかな流れ。そして、きまじめなまでに純粋な情熱を持った農家が丹誠込めて育てたお米、それが「いわて純情米」です。平成3年に宮城県古川農業試験場で誕生、現在岩手県内で生産量がもっとも多いお米。特に岩手県南産は(財)日本穀物検定協会で実施している「米の食味ランキング」で、平成6年から24年まで最高ランクの「特A」を獲得しており、日本トップクラスのおいしさを誇る。


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澤田さんは、岩手県知事が委嘱する「希望郷いわて文化大使」を務めている。岩手にとことん惚れ込んでいる澤田さんは、今後岩手の具材も増やして行きたいし、岩手の情報を店から発信するために、県産品の販売も手掛けてみたいと言う。
「いわて純情米ひとめぼれ」の美味しさや、岩手の風土の素晴らしさを語る時、澤田さんの優しい目は、例え様もなくさらに優しく輝いた。それはまさに岩手山に向かうまなざしだった。